今回は、2016年〜2017年にかけて通っていた「オルレアン大学」についての話です。
ほぼ自分の振り返り用の記事ですが、フランスやオルレアン大学への留学を検討している方の参考になることがあれば嬉しいです。
本記事では、
- フランスに留学した経緯
- オルレアン大学に1年いて良かったこと・悪かったこと
などを整理していきます。
オルレアン大学での学生生活を通して、インターンや大学院進学など、その後の進路選択を行う上では有益な経験ができました。
その一方で、書類関連の処理が遅かったり、授業の成績のつけ方が不透明な授業もちらほらあり、学校の運営体制には疑問を感じた場面も何回かありました。
なぜオルレアン大学に留学したのか
まず、なぜフランスの大学に留学したのかについて整理したいと思います。
専攻に関係があった
自分が専攻していた学部では大学2~3年次に海外留学を行うという制度があったため、入学前から留学することは決まっていました。
特に自分は3-4年でフランス語圏に関する研究をしたいと思っていたので、留学先候補はフランス語圏の大学に絞って探していました。
英語で単位取得しながらフランス語をやりたい
このとき、自分が留学先選びの基準にしていたのは以下の3点です。
- 英語で学部の単位を取得できること
- フランス語も学べること
- フランス語上達のために、長く滞在できること
自分が留学先を選んだ時点ではフランス語を学んで1年も経っていなかったため、フランス語で授業を取るのは無謀でした。
そのため、主に英語で単位取得しつつフランス語も学べる学校を探していました。
そしてたまたまこの条件に合っていたのが、自分の大学と学部間提携を結んでいたオルレアン大学だったというわけです。
また、他の協定校では最大で1学期しか留学できなかったのに対し、オルレアン大学では2学期滞在できる規定だった点も魅力的でした。
しかし、同じくフランス語初学者で留学先を探している学生にとって「長期滞在できて英語もフランス語も使える大学」というのはとても魅力的なので選考倍率はかなり厳しかったです。
それだけに、派遣留学生に選ばれたときは本当に嬉しかった記憶があります。
オルレアン大学の構成・レベル
オルレアン大学はいわゆる総合大学の機関で、キャンパス内に
- Lettres, langues et sciences humaines(LLSH、文学・言語・社会科学)
- Droit, économie et gestion(DEG、法・経済・経営)
- Sciences et techniques(ST、科学技術)
といった学部の建物があります。「Polytech Orléans」と言う工学系の施設もありました。
オルレアン大学のレベル等については「EduRank」というサイトでまとめてあるので、リンク先で確認していただくと良いかと思います。
ちなみに、同まとめではフランス国内で224位中28位という位置付けになっていますが、実際入学してみると(少なくともLLSHでは)そこまでレベルが高い大学という感じはしませんでした。
まとめをみるとオルレアン大学では理系分野での被引用回数が多いので、主に理系分野で評価されているのかもしれません。
オルレアン大学で取った授業
自分はオルレアン大学の「LLSH」という学部に所属することになり、以下のような授業を取っていました。
- イギリス文学
- アイルランドの歴史
- 映画の表象文化
- 留学生向けのフランス語
留学生向けのフランス語の授業以外はすべて英語だったので、フランス語がほぼ喋れなかった自分でも効率的に単位取得ができました。
また、留学生向けのフランス語授業は週2で受けていたので、帰国前にDELF B1を取れる程度にはフランス語の学習も捗りました。
オルレアン大学で良かったこと
自分がオルレアン大学に入ってよかったと思うのは、以下の3点です。
- 物価が安い
- 日本語学科の学生との交流
- 進路に関する知見が広がった
物価が安い
1点目は物価が安いこと。
2015年時点でのオルレアンの人口は11.46万。日本でいう北海道・北見市とだいたい同じくらいの規模の町です。
この規模の人口の町では寮やアパートなどもかなり安く、月5〜6万円程度で東京のワンルームより2倍くらいある広さの部屋を借りれました。
日本語学科の学生との交流
オルレアン大学に入ってよかったと思うことの2点目は、日本語学科の学生と交流できたことです。
留学期間中、意外と「日本」という接点を通して親密になれた人は多かったと思います。
正直に言うと、自分は渡航するまで「フランス人は寿司以外に日本のこと興味なさそう」程度にしか思っていませんでした。
これはあながち嘘ではないし、あまり一般的なフランス人で「特定の国が大好き!」みたいな人はいません。これはアメリカ人もカナダ人も、日本人も似たようなものだと思います。
しかしオルレアンの日本語学科の学生は、やはり専攻が日本に関係しているだけあってかなり日本について関心のある方が多く、留学中とても良い関係を築きやすかったです。
現地の学生とよい関係を築けたことで滞在中に経験できたことも多く、これはとてもよい経験になりました。
進路に関する知見が広がった
また、こちらはオルレアン大学だからというより、ヨーロッパに留学して良かったことに近いですが「進路に関する知見が広がった」と言う点も挙げられます。
現地学生との交流を通して、以下のような話を聞くことができました。
- フランスでの就職事情
- インターンシップと修士号の重要性
これはその後の自分の進路を決めていく中でとても良い刺激を得ることができたと思います。
オルレアン大学で微妙だった点
一方、オルレアン大学で微妙だったと思うのは以下の2点です。
- 授業の質
- 書類の処理が本当に遅い
授業の質
まず一点目は「授業の質」についてです。
オルレアン大学で授業の質が微妙だと感じた理由は以下の5点です。
- PhD持ってない人が授業を担当している
- 成績の付け方の基準が不明
- アナログ中心の授業
- 授業中、生徒のおしゃべりが多い
オルレアン大学のLLSHでは、実は2013年ごろから経済的に厳しい状態が続いているそうです。
こうした事情のためかは謎ですが、授業を持っている人の中にはPhDがない方(本業は教授・研究職ではない)などもいました。
これには大学としていかがなものかと思わざるを得ませんでした。
また、これはフランスの大学では一般的なのかもしれませんが、デジタル化が追いついていないという印象も受けました。
実はオルレアン大学に通った1年のうちパソコンで課題作成を行った記憶がなく、これには若干フランスの高等教育の負の側面を見た気がしました。
書類の処理が本当に遅い
また、これはフランスの大学全般で言えることなのか、オルレアン大学に固有の特徴なのかは不明ですが、書類の処理が遅いです。
自分はフランスから帰国後、2回ほど成績証明書の発行依頼をしました。
いずれも2-3ヶ月かけてやっと成績証明書が発行されるような状態で、証明書が届くまでヤキモキした思い出があります。
しかも留学生の場合は手続きが複雑で、
- オルレアン大学の留学生担当の方に連絡
- 在籍していた学部に発行依頼をかけてもらう
という流れになります。
いつも 1. の留学生担当者の方は即レスしてくれますが、学部のほうの仕事が遅いのか毎度忘れたころに証明書が発行されます。
自分は今後大学院への進学を考えていますが、出願を希望している大学では留学時の成績証明書も出す必要があります。
また、出願書類は絶対に指定された期間内に出さないといけません。なのでフランスの書類がちゃんと発行できるのか、今からかなり不安です。笑
当初の目標を達成できた留学
以上、今回は過去に通っていたオルレアン大学についての話でした。
正直、オルレアン大学(LLSH)の授業内容や運営についてはいろいろ突っ込みどころがありました。
もし自分がもう一度留学先を選べるなら、もう少し受け入れ先の財政状況やクチコミ等をしっかり調べておけば良かったという気もします。
でも、当初目指していた「フランス語の習得」「単位の取得」という目標は達成できたし、特に現地の日本語学科の学生と知り合えたことはとても良い経験になりました。
また、交換留学先には同じ学部からもう一人派遣でオルレアン大学に在籍した方がいるのですが、同じ時期に留学した日本人同士で関係が良好だったことも、オルレアンへの留学がよい体験になった一因だ思っています。(海外における日本人同士の関係は、大変重要です)。
以上、今回はフランス・オルレアン大学についての話でした。
※1年の留学でどのくらいフランス語が上達したか等の話は以下の記事をご覧ください。
DELFB2まで行ったけど今の所役に立っていないフランス語の話
2022年10月4日:読みづらい所や、補足が必要な箇所があったので加筆修正しました